【胃のバリウム検査】発泡剤について

今回は、胃を膨らませる発泡剤について説明していきます。

胃を膨らませる

まず発泡剤を飲んで、胃が膨れる様子をポリ袋を使って表現してみます。

施設によりますが、健診で使う発泡剤は5 gのものを使用する場合が多いです。下記の2つをポリ袋に入れて反応させます。

  • 発泡剤5 g
  • 水30 cc

ポリ袋の中に発泡剤を入れました。

水を加えて、袋を適度に振りました。1分ほどで膨張が収まり、最終的に上図のようになりました。

バリウム検査の場合、バリウムの濃度を薄めたくないので水30 ccで発泡剤を飲む施設は少ないと思われますが、膨らむ速度に違いはあれど、おおよそ上図のように胃も膨らみます。

発泡剤の成分について

発泡剤の成分は、ベーキングパウダーとほぼ同じです。主な成分は、

  • 炭酸ナトリウム:NaHCO3
  • 酒石酸(しゅせきさん):C4H4O6
  • 遮断剤(上記2つが反応するのを防ぐもの)

反応式は、

2NaHCO3 + C4H4O6 →

Na2C4H4O6 + 2CO2 + 2H2O

となります。

炭酸水素ナトリウムと酒石酸が2 : 1で反応してくれれば、炭酸ガスの発生効率は最大になりますね。

また、炭酸水素ナトリウムは塩酸とも反応して炭酸ガスを発生します。

NaHCO3 + HCl →

NaCl + H2O + CO2

つまり、酒石酸との反応が終わり余った炭酸水素ナトリウムは胃酸と反応し、炭酸ガスを発生します。

炭酸水素ナトリウムは全て消費されますが、酒石酸の量によって、炭酸ガスの発生するタイミングが異なるということになりますね。

炭酸ガスの体積について

では、実際にどれほどの炭酸ガスが発生するのでしょうか?

今回使った発泡剤 5 gを元に計算してみます。発泡剤の成分は以下の通りです。

  • 炭酸水素ナトリウム:2.3 g(1 g当たり480 mg)
  • 酒石酸:2.1 g(1 g当たり420 mg)

また、それぞれのモル質量と物質量(mol)は以下の通りです。

炭酸水素ナトリウム:84.01 g/mol

→2.3 ÷ 84.01 = 0.0274 mol

酒石酸:150.09 g/mol

→2.1 ÷ 150.09 = 0.0140 mol

反応式における炭酸水素ナトリウムと酒石酸と炭酸ガスの各係数を見ると、

炭酸水素ナトリウム: 酒石酸 : 炭酸ガス = 2 : 1 : 2となっています。

よって、全ての炭酸水素ナトリウムが酒石酸と反応したと仮定すると、炭酸水素ナトリウムは0.0274 mol分反応し、0.0274 mol分の炭酸ガスを発生します。

一方で、0.0137 mol分の酒石酸しか反応しないので、0.0003 mol(0.045 g)の酒石酸が余る計算です。

また、0℃で1気圧の標準状態(NTP)では、

22.4 l/mol × 0.0274 mol = 0.6138 l

つまり、613.8 mlの炭酸ガスが発生します。

ボイル・シャルルの法則より、同圧条件下で胃の中を37 ℃(310.15 K)とし、炭酸ガスも全て胃の中で発生したと仮定したときの炭酸ガスの体積をVとすると、

V = 0.6138 l × 310.15 K / 273.15 K

結果、696.9 mlの炭酸ガスが存在することになります。

最後に

いかがでしたでしょうか。

計算の結果、約700 mlの炭酸ガスが発生するので、500 mlペットボトル1本と半分くらいでしょうか。

数値を見てもやはり発泡剤はきついですね…。

また、1 g当たり約140 mlの炭酸ガスを発生させることも分かりました。

ゲップにより萎んだ胃の体積に応じて、追加する発泡剤の量の参考になればと思います。